パリでお仕事
初めてフランスを訪れたときに、一目ぼれしたこの街で
暮らしたい、仕事したい
12: はじめての接客
DATE : 2008-03-17-Mon  Trackback 0  Comment 1
「すみません、店員さんですか?」
「はい、そうです。お伺いいたします。」

笑顔でそう答えてみたものの、私の鼓動は急に激しくなった。「今日から働き始めた新人なんです」と心の中で言ってみたところで、相手に伝わるはずもなく。実は、どこからどう見ても外国人の私に、フランス人のお客さんは言葉の不安を感じて、簡単に話しかけてこないだろう、と高をくくっていたのだ。予想外の不意打ちに、焦りは大きい。でも、なんとかするしかない。

「以前、一度友達が持っているのを見かけたのだけれど、旅行バッグで、スーツケース型のものはあるかしら。色は、黒か茶がいいわ。いや、でも、やっぱり他の色も見せてくれますか?」
「はい、ございます。スーツケース型の旅行バッグですね。」

さいわい、マダムの言っていることは理解できたし、希望に沿う商品があることも分かった。ただ、その商品の展示してある場所が思い出せない。マダムの希望を復唱しながら、さりげなく店内を見渡して見つけようと思ったが・・・えっと、えっと、どこだっけ。困った私が、ヘルプ!という表情で近くにいた同僚を見ると、待ってましたとばかりにウィンクして、ある方向を指さしてくれた。・・・あった!

「マダム、こちらへどうぞ。・・・こちらに全ての色が揃っています。」

マダムを案内するために移動すると、同僚も距離をおいたままさりげなくついてくる。どうやら、いざというときにはいつでも助け舟を出してくれるつもりらしい。つかず離れずところで見守ってくれているということに、どれだけの安心感を覚えたことか!
いきなり初日にひとりで立たされたことに、日本との違いを感じ、戸惑っていたが、このときに.突然感じた:大丈夫、やっていける!

覚えたばかりの知識で、なんとか質問に答え、商品の説明をした。マダムから反応が返ってきたことが嬉しかった。とはいえ、いきなりスムーズにことが運ぶはずがなく、その後の突っ込んだ質問には対応しきれず、近くにいた同僚がすっと対応に入ってくれたのだが(笑)。
「マダム、私が代わりにお答えしますね。実は、彼女は今日から仕事を始めたんです。マダムが一番初めの彼女のお客さんです。」「まぁ、今日から!」

マダムが、優しい笑顔で最後にかけてくれた言葉は今でも覚えている。
「あなたの最初のお客さんになれて嬉しいわ。がんばってね、あなたなら出来るわ。」
こうして、私のフランスでの社会人生活はスタートしたのだった。
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| | 2008-03-26-Wed 20:58 [EDIT]
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